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2016年4月3日日曜日

世界の金市場は、インドのモンスーンにかかっているという理由


インドと金



2015年の金需要で中国を抜いてインドがトップに返り咲きました。金取引所有サービスのブリオンサービス社のリサーチによると、宝飾品としての需要が2014年に比べて7%増えて736トンになり、これは過去最高の数字になっています。また、投資目的の需要でも6%増えて191トンで金輸入総量は905トンでした。



金の保有量では1位がアメリカ、2位がドイツ、3位がIMFというランキングになるのですが、金の消費量としては1位がインド、2位が中国、3位がアメリカという順位になります。インドは金の保有量では10位以下になるので、購入した金の多くが資産としてではなく一時的な消費目的で購入されていることがわかります。











インドでこれだけの金の需要が高い理由には、文化として金を好む傾向があり、個人的にアクセサリーとして購入しているということもあるのですが、それ以上にインドならではの伝統的な儀礼が大きく関係しています。その3つが、



  • アクシャヤ・トリティヤ
  • 結婚式
  • ディワリ


アクシャヤ・トリティヤ



アクシャヤ・トリティヤは、太陽と月の輝きが1年の中でもっとも強くなる、縁起のいい日として祭日になっています。この日は価値の高いものを身につけたり、新しい事業を始めると良い日とされており、金の需要がぐっと高まります。毎年4月か5月の祭日ですが、2013年ではアクシャヤ・トリティヤのあった5月のクレジット決済額が通常よりも37%も高かったそうです。





結婚式




インドの結婚式はとにかく豪華。年収の3倍から4倍の費用をかけて行います。裕福な家庭の結婚式になると、1000万円から2000万円を使い、お祝いが数日にわたって催されます。




花嫁花婿の衣装としての装飾に金は欠かせません。


  • イヤリング
  • 首飾り
  • チュリー(ブレスレッド)
  • ビチヤ(足の指輪)
  • ノーズティカ(鼻ピアス)
  • 頭から下げる装飾hん
  • 指輪
  • マンガルスーツ(ネックレス)
  • 金糸のベールやサリー




インドの結婚式は4月~5月と10月~1月に集中して行われ、この時期に金の需要が一気に高まります。人口の多いインドだけに、その規模はかなり大きくなります。


また、インドには花嫁側の家が大きな負担をして金品を花婿に渡す、「ダウリー」という結婚持参金の風習があります。花婿側の要求にこたえられない場合に花嫁が殺されたり、自殺に追い込まれたりという事態に対処するためにインド政府はダウリーを禁止していますが、カースト制度と同様に実質的にはまだ人々の間で根強く残っているようです。




続くインドのカースト集団「ジャート」の暴動。またもマルチ・スズキも被害に





ディワリ




10月か11月に2日間にわたって行われるのが「ディワリ」です。ヒンドゥー暦では新年のお祝いに当たり、インドの叙事詩「ラーマヤナ」が由来になっているお祭りで、ヒンドゥー教の神様「ラーマ王子」の帰還を祝う意味があります。


家先にランプやろうそくを灯したり、街を電飾で華やかに彩ったりします。






「光の祭り」とも呼ばれるディワリですが、一年の内でもっともインドでお金が動くシーズンで、贈答品のやり取りをするならわしもあり、その際に金、あるいは銀をあしらった装飾品が選ばれます。





モンスーンと金




このようにインドの儀礼で欠かせない金ですが、実はインド国内の金の需要の3分の2を占めているのが農家なのです。アクシャヤ・トリティヤ、結婚式、ディワリといった祭礼は必ず毎年やってくるものですが、どれくらいの金を購入するかはその時の収入が大きく関わってきます。



インドの農家の収入に影響するもの、それが「モンスーン」による雨量です。



農作物がきちんと育つために適切なだけの雨が降るかどうかが、農家の収入を左右し、その収入の多寡によって祭礼に割けるお金の金額も変わってくるわけです。インドの主婦が世界の11%の金を所有していると言われるほど、市民の生活に溶け込んでいることがわかります。



世界の金市場を見る上で、インドのモンスーンの状態を見るというのが大事な要素になっているようです。






インド経済を圧迫する金需要


2013年のインドの貿易赤字が国内総生産のうちの10%を超えた原因のひとつとして、金の輸入がありました。ディワリなどの儀礼のほかに、インフレやルピーの通貨安で投資手段として金の需要が高まってきたためでした。


その後、インド政府は金の輸入量を抑制するために金の輸入関税を段階的に引き上げて10%にし、輸入の抑制を実施して経常赤字を減らすことに成功します。しかし、その一方で、金の密輸が横行し200トン以上が正規のルートを経ずにインド国内に流入したと言われています。


原油の価格が下落した背景もあり、モディ政権は輸入の抑制を緩和して密輸入の量を減らす成果も見せていますが、金の需要を国内でまかなうために寺院や家庭に眠っている金を銀行が借り出し、市場に再び流通させる政策も進めています。




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