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2016年9月12日月曜日

ブラジルのテメル新大統領への根強い反発。白人男性のみの組閣も

テメル大統領に抗議する市民
                                        https://youtu.be/e9vtlomEIPQ

パラリンピック開会式と独立記念日に各地で起きた抗議デモ



9月7日(現地時間)にブラジルのリオデジャネイロで行われたパラリンピックの開会式に開催国の首脳として出席したのは、8月31日に大統領に昇格したミシェル・テメル新大統領でした。


同日にジルマ・ルセフ前大統領が国家会計不正疑惑で弾劾裁判によって罷免され、その後を継いだのですが、会場ではテメル大統領に対してブーイングが起き、会場の外では抗議デモが発生するなど風当たりの強い中での政権スタートとなっています。





パラリンピック開会式に出席するミシェル・テメル大統領(写真中央やや右)



「簒奪者」





9月7日はパラリンピックの開幕式だけでなく、独立記念日というブラジルにとっては大事な一日でしたが国内では「テメル出ていけ」「簒奪者」などのメッセージを掲げての抗議運動がリオデジャネイロだけにとどまらず、各地で展開されていました。






ブラジルの大手石油会社ペトロプラスの汚職事件に関与した疑惑がもたれているルラ元大統領を擁護する立場を取ったルセフ元大統領は自身の不正会計や経済状態の悪化などから支持率が大幅に下がり、罷免を求める運動が展開されました。



それでも当初は連立を組んでいる与党が多数を占める議会では、弾劾裁判を設立するのに必要な3分の2を野党が確保するのは難しい状況だろうと見られていました。


事態が大きく変わったのは、3月下旬のことでした。ルセフ前大統領やルラ元大統領が所属する労働党と連立を組んでいた民主労働党(PMDB)が離脱を決定したのです。PMDBが弾劾裁判に賛成する立場を取ったことで、4月18日に下院が承認5月12日に上院で承認されて大統領職は停止になり、180日の弾劾裁判が決定したのです。



ルセフ前大統領の職務停止が決定した時点で、その当時副大統領だったテメル氏が大統領代行を務め、8月31日にルセフ氏の有罪が確定したのちに大統領へと昇格したのでした。


「簒奪者」との言葉が抗議運動の中で使われているのは、PMDBの連立離脱を実現するために党内での調整を行ったのがテメル氏だったというニュースが流れたからで、ルセフ氏はたびたび「クーデター」だと表現しています。




ジルマ・ルセフ前大統領


テメル大統領就任後からパラリンピックの開幕式と数百人規模の抗議活動は続き、その後もデモは都市部で見られていますが、ルセフ前大統領の罷免を求める集会には数十万人もの人が集まったことを考えるといくらか差を感じずにはいられません。





男性中心に逆戻りするブラジル政界




それでも農村の経済を大きく改善した労働党には農家の人たちから根強い人気があり、数は多くなくてもルセフ前大統領を支持する人たちは一定数は存在し、罷免が決まってもそれは変わりがありません。


農家とは別にルセフ前大統領を応援しているのが女性たちです。ブラジル初の女性大統領に就任したルセフ氏は国内の女性に希望を与えていたのは事実で、バネッサ・グレイジーオーティン上院議員たちは再び男性中心の政治や社会に戻ってしまうことを危惧しています。



ブラジル下院は513議席のうち女性は51人しか占めておらず、女性議員の割合としては世界の中で155番目になります。それでもルセフ前大統領の時代に女性議員が増えた結果の数で、男性優位な社会であることがはっきりと表れています。



そしてテメル新大統領が組閣した内閣はすべて白人男性でした。白人男性だけの内閣というのは1964年から1985年の軍事独裁政権の時代以来となります。


女性を中心として世論の反発があったことから、テメル大統領は内閣の人事を見直した結果、女性閣僚を1人入閣させることにしたのでした。




一部では女性大統領を排除するために今回の弾劾裁判が行われたのではないかという憶測も飛び交っていますが、2018年の大統領選挙の有力候補と見られているマリナ・シルバ氏もルセフ元大統領の政府会計の不正操作は確かにあったという認識を持っています。


経済政策に対して著しく能力を欠いていたために、その穴埋めを目的として政府会計の数字に手をくわえたのだろうとルラ元大統領時代にルセフ氏とぶつかることの多かったシルバ氏は見ています。


シルバ氏はブラジル政界がふたたび女性活躍の道を閉ざしてしまわないよう再来年の選挙に向けて活動していくとコメントしてます。



Click! 2016年に指導者が交代した国々(アフリカ・北中南米・オセアニア編)




<追記>

10月18日にテメル大統領は初来日しています。経済の復活のために国内事業に日本の大手企業の参入も積極的に受け入れる姿勢を明らかにしていて、気候変動へのパリ協定を含めた協力も求めています。




しかし、11月25日にテメル大統領とその側近が元文化相に建設プロジェクトの承認に圧力をかけたというニュースが報じられ、側近が辞任する事態なっています。ふたたびブラジル国民の政治不信を煽る形になってしまい、今後の政局にも影響が出そうです。




参照

http://www.huffingtonpost.com/entry/rio-paralympics-president-temer-booed_us_57d12c5fe4b03d2d4598791d
http://www.nytimes.com/2016/09/08/world/americas/some-see-anti-women-backlash-in-ouster-of-brazils-president.html
http://indianexpress.com/article/world/world-news/brazil-president-michel-temer-adds-woman-to-all-male-cabinet-diputed-election-dilma-rousseff-3023338/



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