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2017年2月11日土曜日

南シナ海スカボロー礁をめぐる中国とアメリカ、フィリピンの動き

南シナ海問題であらたに注目されるスカボロー礁

2016年7月に中国は同国が主張する南シナ海の「九段線」をハーグ国際裁判所がその管轄権を認めない判決が下されたものの、それを受け入れない方針で南沙諸島(英名:スプラトリー諸島)などの埋立や軍事演習を行っています。


そんな中、中沙諸島(英名:マクルスフィールド諸島)の1つスカボロー礁でも中国、アメリカ、フィリピンが領有権をめぐって緊張が高まっています。



まず、スカボロー礁とはどのようなところなのでしょうか。




スカボロー礁とは?





スカボロー礁は上の地図のように、フィリピンのルソン島から西におよそ230km、中国本土からもっとも近い海南省から650kmの位置にあります。


スカボロー礁の名称は英名で、中国名では黄岩島、フィリピン名ではパナタグ礁となっています。


中沙諸島では唯一海面より上に露出している島嶼(とうしょ)で人は住んでいませんが、フィリピン、中国、ベトナムの漁師は古くからこのあたりで漁業を営んできました。



現在はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)となっていますが、中国と台湾も領有権を主張している状態となっています。



↓領海と排他的経済水域


領海等に関する用語



スカボロー礁の領有権の歴史

1898年に米西戦争の講和条約として結ばれたパリ条約によってスカボロー礁はアメリカが所有するものと決められます。



1946年にフィリピンが独立するとこの地をアメリカとの軍事演習拠点となり、1992年に駐留していたアメリカ軍が撤退し、そのままフィリピンが引き継ぎ、EEZ内の自国領有権を主張します。



領有権争いのきっかけとなったのは、1990年代後半になってこの環礁付近の海底で天然資源が発見されたことでした。




2009年にフィリピンは自国の権益を守るために国会で「領海基線法」を成立させ、スカボロー礁と南沙諸島の一部を領土とする事実を確認します。




しかし、中国はこれに対して元王朝(1271~1368年)のころに黄岩島の測量を行っていたと反論し、その後も漁業や開発もしてきているとしてフィリピン側の主張を認めない姿勢を打ち出します。




2012年4月、フィリピンは中国船の出没に対して海軍の海洋哨戒を強めます。中国漁船への立ち入りを行い、中国はこれに海洋監視船を派遣をして対抗します。その後、フィリピン海軍と中国艦船のにらみ合いは2ヶ月近くにおよびますが、結果的にフィリピン海軍はスカボロー礁から離れ、中国はフィリピン漁船が礁内航行しないように封鎖したのでした。





状況が大きく動いた2016年

中国の習近平政権は南シナ海全体で九段線の考えのもと、管轄権を広く主張し人工島の増設などを実行していきますが、2016年7月にフィリピンが提訴していた国際仲裁裁判所がそうした行為は違法にあたり九段線も正当な根拠がないという判決を下します。



かねてから中国の動きを警戒しフィリピンや周辺国と連携していたアメリカのオバマ政権はこの国連主導の判決を受け入れるよう促しますが、中国は「受け入れられない」として黙殺する方針を明らかにします。



オバマ大統領は中国のさらなる実力行使に警鐘を鳴らし、スカボロー礁はレッドライン(平和的と軍事的解決の境界線)であるとコメントしています。




ところが6月30日にフィリピンの新大統領にロドリゴ・ドゥテルテ氏が就任し、事態は一転します。



参考記事:2016年に大統領や首相が交代した国々(アジア・ヨーロッパ編)



それまでアメリカ寄りであったフィリピンの外交をドゥテルテ大統領は中国やロシアとの関係に重きを置き、国連やアメリカに対して強い不信感を示したのでした。



ドゥテルテ大統領は10月に北京を訪問し、習近平国家主席と会談の場を持ち、仲裁裁判所の裁定をいったん棚上げすることで合意します。その後、10月終わりにスカボロー礁周辺でのフィリピン漁船が中国監視船の妨害なく漁業を行うことができるようになりました。



11月には中国政府は正式にスカボロー礁付近でのフィリピン漁船の漁業を認めます。







レッドラインをはさんだ緊張

2017年に入り、アメリカはドナルド・トランプ大統領がその座に就きます。台湾の蔡英文総統との関係を築くなど、就任直後から中国の神経をとがらせる外交姿勢を見せ、南シナ海についても人工島の建設を阻止するといった声明を発表します。




2月7日にフィリピンのデルフィン・ロレンザーナ国防相は中国がいずれはレッドラインを超えてスカボロー礁の埋め立てを必ず行うであろうという見通しを発表し、アメリカの影響力に対抗する軍事拠点を作る行為は容認できることではないとしています。



さらに翌日の8日、中国軍機KJ-200とアメリカ哨戒機P―3Cが「異常接近」するという事件が起きました。




哨戒機P―3C
哨戒機P―3C


アメリカ太平洋軍のロブ・シャフォード報道官によると、KJ-200が急旋回を行い、P―3Cとの距離がわずか300mという目と鼻の先にまで異常接近したと発表。



しかし、太平洋軍は今回の中国機の動きを偶発的なものであると認識し、「意図的なもの」とする証拠はないとコメントしています。









参照
http://news.abs-cbn.com/news/02/07/17/5-facts-on-scarborough-shoal
https://www.theguardian.com/world/2017/feb/10/south-china-sea-us-navy-aircraft-encounter







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