オーストラリアの先住民アボリジニー(アボリジナルピープル)の現在

現代に生きるアボリジニーたちのいま







オーストラリア大陸におよそ5万年前から定住している人々、それが「アボリジニー(アボリジナルピープル)」です。オーストラリア全体の人口約2300万人のうちの3%ほどにあたる70万人がアボリジニーの人たちです。


エアーズロックを聖地と崇め「ウルル」と呼ぶ彼らは、オーストラリアという国の中でどのような生活をしているのかクローズアップしたいと思います。








アボリジニーとは?


まず、よく間違えられていることですが、アボリジニーは人種の名前ではありません。英語で「先住民」という意味を持つaborigineから来ています。なので本当は「先住民アボリジニー」と言うと「先住民先住民」という意味になってしまいますね……。オーストラリア国内などでは最近、アボリジニーという言いかたをしなくなっていて、「アボリジナルピープル」(aboriginal people)に代わってきているようです。


それはさておき、人種としてはオーストラロイドという人種になります。18世紀にヨーロッパから西洋人が渡ってくるまではオーストラリア全域にいて、小さな集落をつくって弓矢や槍、ブーメランを使った狩猟をしたりヤムイモやウナギを採集する生活を送っていました。もっとも人が多く住んでいたのは海岸線でしたが、季節によって川をさかのぼって内陸に移動をしていました。



しかしイギリスを中心としたヨーロッパからやってきた移住者たちは、100年以上にわたって彼らをスポーツハンティングの対象にするなどして多くの命を奪っていきました。その結果、100万人いたアボリジニーの人口は19世紀に6万人まで減少してしまいます。



1900年から1971年のあいだにオーストラリア政府はアボリジニーに独自の文化から離れて白人社会に同化した生活を送る政策を進めます。アボリジニーの子どもの4分の1を施設や収容所に強制的に連行し、ヨーロッパの生活様式を学ぶように教育したのでした。



現在アボリジニーの多くがオーストラリア北部にあるノーストテリトリーに住んでいて、この町の人口のおよそ30%を占めています。



アボリジニーはオーストラリア国民としての市民権は1967年に国民投票によって認められましたが憲法上は認知されておらず、さまざまな問題を抱えて生活をしています。






アボリジニーの現在


1992年に高等裁判所が下した判決により、オーストラリアの「先住民」であるとようやく認められ、2008年に政府が初めて公式にアボリジニーへの虐殺に対する謝罪を行いました。しかし強制的に同化を強いられた結果、白人社会とのあいだにある軋轢を解消されないまま生活をしています。







オーストラリア大陸に上陸した日を祝う国に対し、虐殺が始まった日であると抗議するアボリジニーの人たち






オーストラリアの人口のおよそ3%に過ぎないアボリジニーの人々ですが、受刑者の27%を占めています。同化政策によって強制的に両親から隔離されて育てられた子どもたちは問題行動をとる傾向が高くなり、その後の世代においても過度の飲酒や家庭内暴力の割合が高くなっています。


白人による差別もいまだになくなっておらず、刑務所の収監率の高さは差別による暴力事件に巻き込まれたケースも少なからずあるようです。



また、平均寿命の短さや自殺率の高さも問題となっています。アボリジニーの平均寿命は男性で69.1歳、女性で73歳(2010-2012年統計)で、先住民ではない人と比べて10年以上も短くなっています。これはアボリジニーに貧困層が多いことが一因であるとされています。食生活が良くないために栄養をきちんと摂取できないのです。



食生活の状況が良くないために、乳幼児の死亡率も高くなっています。アボリジニーの平均寿命が短いのは乳幼児の死亡率の高さも原因となっています。それだけではなく、アボリジニーの若者の自殺率は一般的なオーストラリアの若者の2倍であるという調査結果も出ています。いろいろな要因が考えられますが、専門家や年配のアボリジニーは伝統文化や伝来の土地から切り離されてしまったために精神的な安定が得られなくなってしまったのではないかと考えています。














参照
https://www.survivalinternational.org/tribes/aboriginals
https://www.aljazeera.com/programmes/rewind/2018/06/australia-lost-generation-battling-aboriginal-suicide-180607111556329.html

















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